【部下の転職】目を掛けて来た部下が転職意向を吐露、その時、上司のあなたはどうする?
グローバル化の進展と共に日本経済への活力や企業改革が叫ばれ、その手段のひとつとして「人材の流動化」が進む社会状況になって来た。その中で問題になるのが、終身雇用や年功序列が長く沁み込んだ企業や管理者は「安定職場を捨てるはずがない」意識が覆され、動揺し、部下転職を受け止め切れないことだ。つい感情的に対応してしまい、返って部下の転職決意を固めさせている。目を掛けて来た部下がある日、転職の意向を伝えて来た時の愕然さは、私自身も今も脳裏に刻まれている。”なぜだ?”と何度も逡巡するも、心当たりの要因が見つからない、、小さな会社を経営し、何度か部下の転職に直面したことで、今は私なりの見解と自分ハウ(自身ノウハウ)を持てた。ここで動揺しない上司はいない、その上で大事な心構えを2つ上げたいー
1.もし、あなたがあなたの配偶者か恋人から別れ話を切り出されたとしたら、あなたは真剣に相手と向き合うであろう。つまり組織の上下関係を横に置き、大事な人との別れ話に向き合うほどのエネルギィーで相手と対峙しなければ、部下は本音に近い話はしないと言うことだ。
2.その上で努めて冷静さを保ち、じっくり相手の話を遮らずに聴くこと。自身にとって一番の部下?と位置付け支援して来た人材の転職、頭の中でぐるぐる憶測や要因が駆け巡ったとしても落ち着いた態度で、転職理由の要因を捉えつつ、最後までひたすら聴くことだ。
転職が当たり前になってきた今、管理者として何をどう対応することが適切なのか、掘り下げていきたい。
まずは、即応せずに一旦、受け止め、道筋を探る
転職したい理由をじっくり聴いた最後には、”あなたの意向は受け止めた、只、このことは、双方に取って、そして会社に取っても重大なことなので、少し時間をくれないか”と伝え、次への道筋を考え、対応策を練ることになる。部下の退職や転職の要因は1つや2つではない。複数の要因が微妙に絡む背景があるので、”他に要因はないか?、他には?他には?”とこの一点だけは繰り返し迫る(経験上、ここはかなり重要)ことだ。要因の本質が見えてこないと、対応策の練りが中途半端となり、部下の気持ちを動かすことは出来ない。
つまり、じっくり部下の話を聴きつつも、なぜ、優秀な社員が職を辞する決断をしようとするのか、組織に潜む見えない課題を捉えるつもりで向き合うことである。それは部下から突きつけられたあなたへのマネジメント課題とも言えよう。
つまり、じっくり部下の話を聴きつつも、なぜ、優秀な社員が職を辞する決断をしようとするのか、組織に潜む見えない課題を捉えるつもりで向き合うことである。それは部下から突きつけられたあなたへのマネジメント課題とも言えよう。
言ってはいけない、禁句フレーズ
部下の話を真摯に耳を傾けつつも、つい、親心から?上司的立場から?言うべきでない余計な言葉を発してしまうことがある。転職者から”上司の口から、この言葉だけはききたくなかった”と言わしめる禁句フレーズがあるので心したい。
■「やっとここまで育ててやったんだ!軽率なことは考えるな」
■「君のキャリアやスキルで、果たして他で通用するのか?悪いようにはしないのでここで
やっていかないか」
■「転職して成功する人材は一握りだ、早まるなよ!」
■「隣の芝生はよく見えるものよ、、入って見ると、どこも同じようなものね、、」
■「やぁ~辛いね!この繁忙期に辞められるのが一番、職場が困るんだよ」
すでにお気づきかと思うが、どのフレーズも会社や上司本位で投げられた苦し紛れの言葉である。これでは部下に届くどころか、嫌悪を持たれることに、、
■「やっとここまで育ててやったんだ!軽率なことは考えるな」
■「君のキャリアやスキルで、果たして他で通用するのか?悪いようにはしないのでここで
やっていかないか」
■「転職して成功する人材は一握りだ、早まるなよ!」
■「隣の芝生はよく見えるものよ、、入って見ると、どこも同じようなものね、、」
■「やぁ~辛いね!この繁忙期に辞められるのが一番、職場が困るんだよ」
すでにお気づきかと思うが、どのフレーズも会社や上司本位で投げられた苦し紛れの言葉である。これでは部下に届くどころか、嫌悪を持たれることに、、
若手・中堅部下が転職に走る4つのケース
昨今の若手・中堅クラスの転職の理由として、個々さまざまであるが、大まかに4つのケース
に分けられる。
①「上昇志向」がモチベーションのベースにある。キャリアメイクは必須事項と捉え、仕事領
域を拡げるべく着々と準備していく。自身に自信があり、出世・報酬も手に入れたい野心家
である。
②能力・スキルはそこそこ、将来プランもあやふやながら「成長欲求」だけは高く、どこかに
自身にフィットした新天地があると思い込んでいる。昨今はこの夢見る成長欲求タイプが増
えている。
③評価・処遇、組織体制や自身の職位に不満を持つ。残業時間や業務終了直後の会議の多さ、
社内の人間関係の悪さ等も重なり、解を求めて行動するよりも、逃げ出したい「現状逃避」
タイプ。
④自身の要因というよりも、親や家族の介護・育児、配偶者のメンタル不調・病気、転勤等、
プライベートな問題で困難を抱えている。生活変化に応じて「働き方を見直す」タイプ。
に分けられる。
①「上昇志向」がモチベーションのベースにある。キャリアメイクは必須事項と捉え、仕事領
域を拡げるべく着々と準備していく。自身に自信があり、出世・報酬も手に入れたい野心家
である。
②能力・スキルはそこそこ、将来プランもあやふやながら「成長欲求」だけは高く、どこかに
自身にフィットした新天地があると思い込んでいる。昨今はこの夢見る成長欲求タイプが増
えている。
③評価・処遇、組織体制や自身の職位に不満を持つ。残業時間や業務終了直後の会議の多さ、
社内の人間関係の悪さ等も重なり、解を求めて行動するよりも、逃げ出したい「現状逃避」
タイプ。
④自身の要因というよりも、親や家族の介護・育児、配偶者のメンタル不調・病気、転勤等、
プライベートな問題で困難を抱えている。生活変化に応じて「働き方を見直す」タイプ。
その時、どう考え、対応するのか?
目を掛け支援して来た優秀な部下を簡単には手放せないーここは管理者として一番の踏ん張りどころと心得、引きとめ策を練ることになる。只、この時点で大事なことは部下の転職意志の確認である。すでに転職会社も決まり、固い決意で、気持ちは転職先に向い、キャリアの見通しがついている場合は、むしろ、快く送り出してやろう。
一方、どこかまだ迷いがあり、転職先を求めて奔走中であるならば話合いの余地は充分にある。つまり、引くのか、引きとめるのかを見極めることが重要。
①「上昇志向」タイプ →”やはり来たか”とゆったり構え、残念な想いは伝えるがガタガタ言わ
ない。こういう有能人材は会社のロールモデル的な位置づけにいるので、会社への影響は大き
い。只、経験上、たとえ”職位や報酬”を持ち出そうが、時すでに遅しで、次を見据えている人
材には響かない。早い時点で幹部候補選抜的なコースがあって然るべきかとー
②「成長欲求」タイプ →育成次第で伸びる可能性があると判断するならば、「成長欲求」を満
たす方向でキャリアプランを提示。客観的に不足している分野の知識・スキル等をしっかり伝
えることで、仕事に対するさらなる覚醒と研修コース受講を促す。交渉の余地は充分にある。
③「現実逃避」タイプ →現実的で計算高さもあり、引きとめるのか、否か中々苦心する。又こ
のタイプは詮索されることが面倒なのか、当たり障りない理由でのらりくらり、本音に迫れな
いことも。部署配置転換・職種変更等、職場環境や仕事内容がフィットすれば大きな能力発揮
もあり得る。目標と成果の指標を定め、トライ期間の達成状況で判断することも。省エネタイ
プ人材をどうマネジメントするかが問われる。
④「働き方見直し」タイプ →働き方改革やワークライフバランス(WLB)の流れの中で、家族上
の問題に留まらず、人生の節目段階に応じて、多様な生き方が選択できる働き方を求める若者
が着実に増えた。副業やパラレルキャリアを含んで、今、人事政策の大きな転換点か。当面策
として時短、フレックス、介護育児休暇、ノー残業デー、テレワーク、拠点異動等、一律的で
はなく、個々実情にフィットした方策を相互で練ることだ。
一方、どこかまだ迷いがあり、転職先を求めて奔走中であるならば話合いの余地は充分にある。つまり、引くのか、引きとめるのかを見極めることが重要。
①「上昇志向」タイプ →”やはり来たか”とゆったり構え、残念な想いは伝えるがガタガタ言わ
ない。こういう有能人材は会社のロールモデル的な位置づけにいるので、会社への影響は大き
い。只、経験上、たとえ”職位や報酬”を持ち出そうが、時すでに遅しで、次を見据えている人
材には響かない。早い時点で幹部候補選抜的なコースがあって然るべきかとー
②「成長欲求」タイプ →育成次第で伸びる可能性があると判断するならば、「成長欲求」を満
たす方向でキャリアプランを提示。客観的に不足している分野の知識・スキル等をしっかり伝
えることで、仕事に対するさらなる覚醒と研修コース受講を促す。交渉の余地は充分にある。
③「現実逃避」タイプ →現実的で計算高さもあり、引きとめるのか、否か中々苦心する。又こ
のタイプは詮索されることが面倒なのか、当たり障りない理由でのらりくらり、本音に迫れな
いことも。部署配置転換・職種変更等、職場環境や仕事内容がフィットすれば大きな能力発揮
もあり得る。目標と成果の指標を定め、トライ期間の達成状況で判断することも。省エネタイ
プ人材をどうマネジメントするかが問われる。
④「働き方見直し」タイプ →働き方改革やワークライフバランス(WLB)の流れの中で、家族上
の問題に留まらず、人生の節目段階に応じて、多様な生き方が選択できる働き方を求める若者
が着実に増えた。副業やパラレルキャリアを含んで、今、人事政策の大きな転換点か。当面策
として時短、フレックス、介護育児休暇、ノー残業デー、テレワーク、拠点異動等、一律的で
はなく、個々実情にフィットした方策を相互で練ることだ。
部下の辞める兆候はどこに表れるのか
人が退職・転職を決断するにはそれなりの理がある。その理は形となり、発言、表情、態度、行動に表出するもの、後で”そう言えば何んか様子が以前と違っていたなぁ”と気づく。この”そう言えば様子が違う?”の直観を日頃から意識して鍛えることで、初期対応が可能になる。様子が違うの兆候として、退職・転職を考え始めた頃と退職間近では、くっきり、はっきり態度や行動が違ってくる。
■退職・転職を考え始めた頃の兆候
ー 会議・Meeting時の発言や意見を控えるようになる
ー 雑談やチームの集まりに入ってこないし、一人ランチが多くなる
ー うかない表情や以前の元気が失せ、覇気が感じられない
ー 話しかけてもリアクションに乏しく、あいまい返事となる
ー 仕事に今一つ集中できないので、ミスや時間にルーズになり、注意が多くなる
ー ガンガン言っていた仕事への不満や提案がめっきり減ってくる
ー 早めに出社していた習慣が少しづつ崩れる、反対に遅刻、休みが増えてくる
ー 髪、ヒゲ、化粧、服装、靴などがきちんとした印象のものに変わって来る(面接用か?)
ー 仕事中の私用電話、私用の携帯メール等で離席が増える
■退職・転職間近の兆候
ー 表情、態度が明るくなり、テキパキと行動する
ー 業務が終了すれば、周囲を気にせずさっさと退社する
ー 机の上や周辺が整理整頓され、物が少なくなってくる
ー 担当業務に関するマニュアルを整備し始める
ー 周囲との接し方が柔和になり、トラブルは意識して避ける
■退職・転職を考え始めた頃の兆候
ー 会議・Meeting時の発言や意見を控えるようになる
ー 雑談やチームの集まりに入ってこないし、一人ランチが多くなる
ー うかない表情や以前の元気が失せ、覇気が感じられない
ー 話しかけてもリアクションに乏しく、あいまい返事となる
ー 仕事に今一つ集中できないので、ミスや時間にルーズになり、注意が多くなる
ー ガンガン言っていた仕事への不満や提案がめっきり減ってくる
ー 早めに出社していた習慣が少しづつ崩れる、反対に遅刻、休みが増えてくる
ー 髪、ヒゲ、化粧、服装、靴などがきちんとした印象のものに変わって来る(面接用か?)
ー 仕事中の私用電話、私用の携帯メール等で離席が増える
■退職・転職間近の兆候
ー 表情、態度が明るくなり、テキパキと行動する
ー 業務が終了すれば、周囲を気にせずさっさと退社する
ー 机の上や周辺が整理整頓され、物が少なくなってくる
ー 担当業務に関するマニュアルを整備し始める
ー 周囲との接し方が柔和になり、トラブルは意識して避ける
全 体 の ま と め
日本も就社から就職の時代になったことを実感している。このことは、会社の人事制度に沿ってやって来たキャリア設計を、これまで以上に、自身で考え、自身でコントロールしていく必要性があることを意味している。「人材の流動化」がさらに進めば、上昇志向人材だけでなく、上記で示したタイプ②や④の人材も、外の世界に目を向け自身の生き方に合った仕事や働き方を求めて躊躇なく動くであろう。
経営者層も管理者も目指すべき方向性はひとつー「人が寄ってくる」「あの人と一緒に働きたいと人がやって来る職場」だ。ではどうすればそれに近づけるのか?その解は部下の退職や転職時に若手・中堅クラスと真摯に向き合って得た気づきがすべてを物語っていないか、、部下にとって上司との関係は最重要事項、部下とは上手く行っていると思い込んでいるのは上司だけで、部下のやりたいこと、目指す方向性を充分、理解していたのか、又、部下が本音で話せる心理的安心感は醸成されているのか、、人事制度・組織の仕組み・組織風土をウンヌン言う前に管理者として自身のマネジメント力を見直す機会と捉えたい。
(Ⓒ なかざきみねこ)
経営者層も管理者も目指すべき方向性はひとつー「人が寄ってくる」「あの人と一緒に働きたいと人がやって来る職場」だ。ではどうすればそれに近づけるのか?その解は部下の退職や転職時に若手・中堅クラスと真摯に向き合って得た気づきがすべてを物語っていないか、、部下にとって上司との関係は最重要事項、部下とは上手く行っていると思い込んでいるのは上司だけで、部下のやりたいこと、目指す方向性を充分、理解していたのか、又、部下が本音で話せる心理的安心感は醸成されているのか、、人事制度・組織の仕組み・組織風土をウンヌン言う前に管理者として自身のマネジメント力を見直す機会と捉えたい。
(Ⓒ なかざきみねこ)