今、注目される「1 on 1」の本質とは?部下の育成手法として機能させるやり方と留意点
冬至を過ぎた頃から、まるで走り幅跳びをするかのように一気に年の瀬がやって来る。明日はもう大晦日、2021年最後のテーマは、最近よく耳にする「1on1」ミーティングを取り上げたい。
新型の疫病をきっかけに多くの企業が在宅勤務やテレワークを急ごしらえで導入したものの、今やそれなりに定着しつつある。しかしながら、マネジメントを進める管理者にとっては、部下の置かれている環境や仕事状況が見えづらく、気楽に交わすコミュニケーションも減り、部下育成に苦悩する管理者が急増している。急激な働く環境変化は組織マネジメントのアップデートに留まらず、会社のあり方や方向性にまで変わることを突きつけられる。要は従来型の目標管理のための話し合いだけでは、廻っていかなくなって来たということだ、、、
そこで、登場してきたコミュニケーションツールが「1on1」ミーティングである。2012年からヤフーがこの「1on1」を導入、数年掛けて社内に浸透させ、その効果性で他社企業にも拡がった。聞くところによると、「1on1」をヤフーでは「部下のための時間」と定義しているそうだ。今回は「1on1」を上手く機能させていく方策とポイント、従来の話し合いと基本的な違いは何か、話し合いに相応しいテーマはあるのか、そして最後に「1on1」の本質と何かを掘り下げる。
「1on1」とは何か?ー従来の話し合いとの基本的な違いとは―
組織に必要なコミュニケーションには、大まかに言えば、業務遂行のための情報連絡、そして人としての存在を承認し合う場の2つある。現状は大同小異あろうが業務のための情報連絡が殆どを占めているのではないか、、「1on1」は効率化一辺倒に傾いた組織コミュニケーションのあり方を見直し、人としての存在欲求の場を取り戻そうとする場と考えて頂きたい。それは従来型の評価や管理が目的のミーティングではない。部下が抱えている問題・課題やありたい姿を管理者が傾聴する中で、部下自身が課題や問題に向き合い、双方でやり取りを重ねる中で何かしらの方向性や方策の糸口を見つけ、解決に向けて部下自身が考え、行動する主体に成ってもらうと言うものだ。「1on1」の実施ポイントは短い時間(1回20分~30分)で、定期的(月1~3回・ちなみにヤフーは週1回)に重ねることで、まずは相互の関係を醸成する。その相互関係の中で管理者は部下の抱えている現状理解を深め、相手にフィットする働き方や業務の進め方等、マネジメントに活かしていきたい。
「1on1」ではどんなテーマが話されているのか
目標管理や評価面談は普段からやっているが、この「1on1」はどんなテーマで話すものなのか、又部下が自身の問題・課題を進んで話すだろうかと気を揉む管理者もいるであろうー 「1on1」のテーマは「自由」で特別な取決めはないのですが、企業で実施されている一般的なテーマとしては下記のものあり、、
①テレワークでの仕事環境で困っていること、悩みや不安
②仕事上で自身にとって重要な問題や課題、悩みや不安、
③自身のこれから、キャリアデザインとして志向したいこと
④組織や会社全体の問題や課題を洗い出すこと
⑤仕事以外のプライベート(介護、育児、心身健康問題、家庭の事情等)な話題もOK
管理者は目の前にいる人材に本音のひとつも吐露してもらうべく、考え方や価値観に至った背景に着目し、人間理解に努めること。そのためには伴走者的なスタンスが大事だ。
①テレワークでの仕事環境で困っていること、悩みや不安
②仕事上で自身にとって重要な問題や課題、悩みや不安、
③自身のこれから、キャリアデザインとして志向したいこと
④組織や会社全体の問題や課題を洗い出すこと
⑤仕事以外のプライベート(介護、育児、心身健康問題、家庭の事情等)な話題もOK
管理者は目の前にいる人材に本音のひとつも吐露してもらうべく、考え方や価値観に至った背景に着目し、人間理解に努めること。そのためには伴走者的なスタンスが大事だ。
「1on1」実施の上で留意すべきポイントー
部下が「1on1」に乗ってくれるか、果たして信頼関係を築けるものかと疑問をもっていよう、、私が研修で関わった企業さまに「1on1」の実施状況をリサーチすると、スタート時はガタガタと相互に戸惑いはあるものの、粘り強く回数を重ねる中で部下の満足度が徐々に上がって来た。只、留意すべきポイントがいくつかあるので、参考にして頂きたい。
①「1on1」を”なぜ実施するのか”目的の擦り合わせをきっちりする。
②主体は部下にあるので、上司がしゃべり過ぎたり、指示を出したり、出来ないことを責めたり
はご法度。
③雑談が主ではない。
④大事なことは部下の悩みや不安を受け止め、事の本質は何かを共有し、部下が一人苦闘する状
況から、解を求めて一緒に伴走する者が隣にいるという姿勢を見せる。
⑤時間に始まり、時間に終わる。短い時間であろうとも、話し合いの着地点を考えながら進めて
行く。
①「1on1」を”なぜ実施するのか”目的の擦り合わせをきっちりする。
②主体は部下にあるので、上司がしゃべり過ぎたり、指示を出したり、出来ないことを責めたり
はご法度。
③雑談が主ではない。
④大事なことは部下の悩みや不安を受け止め、事の本質は何かを共有し、部下が一人苦闘する状
況から、解を求めて一緒に伴走する者が隣にいるという姿勢を見せる。
⑤時間に始まり、時間に終わる。短い時間であろうとも、話し合いの着地点を考えながら進めて
行く。
「1on1」の本質はどこにあるのかー
過去を振り返っても、ここまで部下と対峙する時代はないのではないか、、なぜ、激務の管理者に時間もエネルギィーもスキルも必要とし、手間ばかりの「1on1」を推進するのだろうか?管理者のあなたはまだ腹落ちなさっていないのではないか、私なりの見解を述べたい。
富を生む経済の主役がモノからデータやアイデア・ノウハウと言う”知”に移って来たことで、成功体験をベースにした従来型のやり方では企業は成長の果実を手に入れることは難しくなった。今、企業に求められるものは”知”の競争に勝ち残っていけるイノベーションだ。そのイノベーションの発端となり”知”を押し上げていくべき人材が、取り組むべき仕事に熱量ひとつ持てない環境下にいるならば、企業は間違いなく衰退に向かう。”知”の競争時代にフィットする組織のあり方や社員の働き方、報酬体系をどう確立するのかが問われる。つまり、この「1on1」はイノベーションを生む職場風土や組織文化の醸成に向けての土台づくりであろう。企業の命運を握る働き手のやる気を是が非でも覚醒させるべく動き始めたと考える。
富を生む経済の主役がモノからデータやアイデア・ノウハウと言う”知”に移って来たことで、成功体験をベースにした従来型のやり方では企業は成長の果実を手に入れることは難しくなった。今、企業に求められるものは”知”の競争に勝ち残っていけるイノベーションだ。そのイノベーションの発端となり”知”を押し上げていくべき人材が、取り組むべき仕事に熱量ひとつ持てない環境下にいるならば、企業は間違いなく衰退に向かう。”知”の競争時代にフィットする組織のあり方や社員の働き方、報酬体系をどう確立するのかが問われる。つまり、この「1on1」はイノベーションを生む職場風土や組織文化の醸成に向けての土台づくりであろう。企業の命運を握る働き手のやる気を是が非でも覚醒させるべく動き始めたと考える。
ま と め
日本企業は総力を集めて効率化の追求を30年、日夜手を抜かずにやって来た。只、それは集団主義、アナログ的な組織風土の中で同質的な人材輩出に向かった。成果の果実となるイノベーションは人との交わりや闊達な議論の中で自由な発想が生まれことが多い。出る杭は打つのはなく、これからは育てるということだ、、、個々の力の価値を引き出し高め、組織力と多様性を集約させて、明日を築こうとしている。
2022年は本格的な人事変革の年と見る。(Ⓒ なかざきみねこ)
2022年は本格的な人事変革の年と見る。(Ⓒ なかざきみねこ)