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管理者を襲うストレス難題、どう対処する?①上司の手柄横取 ②怨望 ③恩ある先輩を解雇 

新型コロナ禍で3年目を迎えた2022年がスタートした。年末年始は、早めに仕事納めを致し、再びの「三国志」を手に取り楽しんだ。ご存じのように「三国志」は中国の後漢末期から三国(魏、蜀、呉)が群雄割拠していた時代の長大な歴史書である。幾度読んでも色褪せないのは、人物表出の巧みさと共に千里を駆ける知謀で大軍を知略で奔走し、遂には小が大を射る痛快さにありかー蜀の劉備に請われた天才軍師の知略家である諸葛孔明を昔の私は推しであったが、今は呉の孫権に仕えた周喩びいきである。周喩という人物は、孫子の兵法書にある「風林火山」を地でいく知将+人心掌握の巧さが魅力。この人物が現代のビジネスマン、特に管理者に通じることは、情報を得ても正しい情報かを見極める分析推論の慎重さと、有力情報を疾風のタイミングで活用する決断の速さで成果を上げる。何より学ぶことは、自身の考動学のベースとなる基軸があり、それは突き詰めれば、塹壕下でも振回されない生き様を持っていると言うことだ、、

2022年ブログ幕開けは、管理者として長い会社人生を渡っていく中で、一度や二度、必ずや遭遇するであろうストレスフル案件をあえて取り上げたい。それは人間(自身含む)の持つ清濁さに向き合い、葛藤し、内省の果てに、自分は何者かを自身に知らしめることになる。テーマは①手柄の横取り、しかも一目置く上司が、、②なぜ、あいつが俺より先に昇進?同期の怨望 ③早くに昇進、管理者として恩ある先輩を解雇せざるを得ない。今回のこの3テーマは人が追い込まれた状況下で頭を擡げる表裏の心理局面を掘り下げることで、人間理解を深めたい。

あなたならどうする?ー”手柄の横取り”、しかも一目置く上司が、、

多くの組織を見て来たが、上司と部下の関係は、蜜月期間があったり、水と油のようにはじきあったり、程よい距離感を保ったりと状況次第で変化していくことが多い。その中で上司との信頼関係が変わず、しかもあなたが一目置く上司であった人物に手柄を横取りされたとなると、上位職にあろうとも手柄に邁進するものかと裏切られた思いと、一体今まで上司のどこを見て来たのかと自身の人物眼のなさに情けなくなったり、、と考えたならば、あなたは一般社員レベルであろう。あなたが組織の熾烈さを知る管理者ならば、次のことを考えたのではないか、、、

①あなたが一目置いた上司が信頼関係ある部下を裏切ってまでも手柄に邁進するには相当に追い
 詰められた事情があったのではないかー 
②もし、そう考えるならば上司は”すまない”と手を合わせいるはず。今まで上司から受けた指導
 を授業料と捉え、今回はガタガタ言わずさっさと手柄を差し出そう。
③人の手柄を取るよりも、人に手柄を立てさせる方が上をいく。なぜならそれが出来れば周りが
 力を合わせて仕事をしてくれるようになり、それが組織の成果につながり、結果として自然と
 自分の手柄が増えていく。
④長い時間を掛けて培ってきた関係性や組織の山谷を経験する中で養われた物事を見る目は決し
 て曇ってなんかいない。要は、八方塞がりの深壺にはまり、条件が揃えば、人はどんな状況で
 あれ、どんな人であれ、一度や二度はやましい感情にいつの間にか支配されていくこともあり
 かと、、清濁含んでいるのが人間というもの、、

もし、手柄を得たことでその上司が出世したとしたら、あなたは胸を張ってよい。あなたが押し上げたからだ。そして次に組織が思いっきり活性化する大胆提案を彼に颯爽と差し出そう。彼は「中々、やるなぁ~」と苦笑しながら、それなりに動くであろう、、、

あなたならどうする?ー”なぜ、あいつが俺より先に昇進?” 同期の怨望、、

よく目にするケースである、が、実際に自身の身に起きるとその苦しみを味わうことになる。昇進昇格試験でだた1人合格したことで、盟友の同期と、いつもの何気ない会話が減り、”おめでとう”はあったが、どこかぎこちない。そうこうしていると辞令が出され、そのまま同部署で上司と部下の関係になり、仕事場面で双方が火花を散らし対立するようになり、やがて仕事に支障が出始めた、、、

「怨望(えんぼう)」とは恨めしく思うこと、妬みや嫉み。福沢諭吉は彼の著書「学問のすすめ」で『怨望は最大の悪徳である、百害あって一利なし』とある。この感情は自らの不徳さを省みることなく、相手の足を引っ張る、害を与える事で、自身の不満を解消し満足を得るというもの。

怨望がエスカレートして行くと、とんでもない事件に発展し兼ねないほど、厄介なものである。では、両者の立場でどうすべきか、考えて見よう、、


”怨望状態”の中から、何に気づき、どう行動すべきか?

盟友の同期に先を超された人間の心情を考えてみよう。仕事面も現場統率力もどれを取っても自分の方がレベル高く、有能と捉えているのであろう(実際そうであることが多い)、組織の生産性を上げるなら俺であって、あいつではない、なのになぜ?ー怨望状態に入ると自身のことしか見えない、言わば視野狭窄に陥っていく、、、

ここで気づいて欲しいことは何かー自身を棚に上げて相手の能力評価をすることではない。会社は今回の管理者に何を求めているのか、会社の求める管理者像に自分は何が不足していたのか、自らを省みること、自らを客観視できることだ。

そうは言っても、合否の直後はうろたえ、無念さで怨望のひとつも抱こう、、だが、盟友であるなら、落ち着いた時点で、自らが声を掛け、宴席のひとつも持とう。そこで自分に有って彼に無いもの、彼に有って自分に無いものを苦笑しながらも話せたら、彼にはこの上なく嬉しい昇進祝いだ。なぜなら、あなたと同じくらい彼もどうしたものかと日夜苦しんでいたはず、その盟友からもつれた糸口を紡いでくれた事への深謝。

そして彼は思うだろう、”あなたの方が力量がある”と。

管理者なら、どう考え、どう行動すべきか?

まず、管理者は事が起きて動き出すのでは遅い、初期初動を早めることで問題の芽を先に摘んでいく。よって、仕事に支障が出るまで放置していたことは、管理者失格と言える。盟友への感情配慮から上司的な行動を取ることに何かしらブレーキが掛かったなら、それは一般社員レベルだ、管理者ならばそれが組織に及ぼす影響を想定する必要がある。”責任を持つ”とはそう言うことだ。管理者として、意識して欲しいことは下記の通り、、

①二人の立場で考えると上に立つ者が、先にアプローチする。なぜなら、問題解決のために動く
 のが管理者である。
②先に昇進したことに拘り過ぎてないか!組織である限り、立場は常に変化、逆転していく。激
 変する今の時代は尚更である。数年でいつの間にか盟友が先に行くことも大いにあるかと、、
③「あれ、何かおかしい、普段の会話を避けるようになった、」と察したら、管理者であるあな
 たから、声を掛け、ざっくばらんに自身の本音を話す場をもとう。ポイントは、1)盟友のあ
 なたに一目置いている。2)今回は私が上司になり、役不足は承知しているが、仕事なので責
 任は果たしたい。3)責任を果たし、組織をまとめるにはあなたの力が必要。4)頼む!、力
 を貸してくれ~と、相手の目を捉えて頭のひとつも下げよう。

あなたから本気で頼られたことで、怨望を持った盟友は少なからず自負心を取り戻す機会となろう。そして、足を引っ張り、仕事に支障を出した自分に頭を下げて協力を依頼するあなたに、
”自分に足りなかったもの”を察するだろう、、もし、それでも事態が好転しない時は、迷うことなくあなたの上司に相談すべし、問題解決のために上司は存在する。

 

あなたならどうする?ー早くに昇進、恩ある先輩を解雇通告する、、

年功序列の崩壊は、20代の上司が50代の部下に解雇通告を申し渡すと言う状況場面となり、それが間違いなく増えて来ている。恩があると言うニュアンスは、入社当初から指導を受け、ビジネスのイロハを伝授され、部署を離れた後もメンター的な存在として有益なアドバイスをもらうなど、尊敬する先輩なのであろう、、つまり、単なる先輩ではないことが、あなたを憂鬱にし、
”どんな顔して通告しろと言うのか”と、重荷で逡巡を余儀なくさせている。解雇通告は恩ある先輩に限らず、どんな時も嫌な役回りである。今回は役回りを逃げずに向き合うことを前提に私なりの経験から双方の心情を察しつつポイントを述べたい。

①先輩に取っては人生を左右する大事な局面、あなたは可愛がって来た後輩ではなく、会社サイ
 ドの通告人と捉え、当然、ポケットに録音機のひとつも回しているものと想定すべき。
②よって、あなたの心構えとしては淡々といく。余裕ある表情や態度は、かえって、鼻に突く。
 但し、会社事業状況の現状、解雇をせざるを得ない背景と理由は丁寧にしっかりと述べる。
②淡々といくと申したが導入時は「今回は僭越で、私では役不足であることは承知しています」
 とひと言入れる、が、余計な会話は控える。それで充分、相手に伝わる。相手からの質問や応
 答には会社の方向性に沿って丁寧な言葉使いで進める。
③積上げて来た信頼関係が存在していれば、先輩なりに双方の立場の辛さをよく分かっている。
 余程の腹に据えかねた解雇理由でない限り、あなたを責め立てる行動は控えるのではないか?
 、、ここは人間の表裏が噴出する瞬間であろう。

日を置かずに、先輩に手紙か電話で心からの深謝を伝えたい。内容は「長く先輩より指導を受けて来たお蔭で今がある。それなのに先日は仕事とは言え若輩の私がご無礼を致した」と伝えよう。あなたの尊敬する先輩は苦笑しながら、「君のせいではないよ。まだまだこれからも山谷あろう。今度は祝杯が上げられる日が来る事を願うよ」と言ってもらえたら、ご縁はこれからだけでなく、生涯続く関係となろう、それは「師」を得たと言える。   (Ⓒ なかざきみねこ)