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【第2弾「意志力」】意志が弱いのではない!課題を認識すれば ”らせんサイクル”で強化できるー

”意志の弱さ”を自認する人には何らかの要因がある。単なる”弱さ”と言うものではなく、意志力開発のトレーニング不足でしかない。自身の取組み方の「何が」「どこに」問題があるのか、まず取組み状況や癖をしっかり認識する必要がある(意志力チェック診断・16タイプあり)つまり意志力チェック診断を駆使し、自身を客観視した上で、目指す方向をイメージし、仕組みサイクルを回していくことだ。スタート時はゆっくりとらせん階段を登るがごとく、課題を意識し、時に周囲の助けも借りながら、段々とらせんのサイクルを加速していく、、、

立案計画の実行プロセスに”仕組み”を入れよう!

まずは【第1弾】意志力はどこにいった!ーを読んで頂けたであろうか?第1弾はいわば意志力開発の基礎編となる。意志力開発のきっかけはイタリアの心理学者で「意志」研究の第一人者であるロベルト・アサジョーリの著書(「意志のはたらき」誠信書房)に出会ったことにある。彼の概念と技法を基軸に意志力開発を教育研修コンテンツとして構想・開発し、現場実践して来た。夢や目標への取組み意欲はあろうとも、多くの人達がどこで躓き、なぜ諦めることになるのか、、

この長年持ち続けたテーマの到達点で私が掴んだことは――①目標設定に対する実行プロセスは個々それぞれのやり方に依存され、余り日が当たらないので個々の躓き・課題が見えづらかった。②実行プロセスの節目、節目で第三者(上司や社内の人でなく)による激励、確認、コメント等の見守り仕組みが入るとその都度覚醒があるので持続のサイクルが保たれる(孤独な闘いにさせない)

従来から常に課せられてきた目標設定、自己啓発計画だが、計画中味への注力から、実行プロセスのフォロー多様化に視点を移す時代に入ったのではないか。

個々のつまづきや課題を見える化するー

さて個々の実行プロセスに焦点を当て、課題や不足点を見える化するツールが意志力チェック診断である。これは第1弾で提示した意志力強化への4つのステップー「第1STEP 想いの発生」「第2STEP 熟慮」 「第3STEP 決断と公言 」 「第4STEP 実行」の各基軸に沿いチェックリストを開発、個々の課題・不足点を数値化し明確にした。なぜならば、強化ステップとは裏を返せば、弱点・課題点の表出と言える。この意志力チェック診断から16タイプの個々像が見えて来る。例えば どんなタイプか、幾つか上げると下記の通りだ。

●感覚実行型とはー

感覚実行型は―第1S高い  第2S低い  第3S低い  第4S高いというタイプだ。
〇明確なゴールを持ち、実行していくエネルギィーは充分にある。
〇他者の想いや熱意に対して共感出来、それらを活用してさらに高い理想や夢に転換出来る。
 
△目標実現に向かうには、はやる気持ちを押さえて、じっくり考えやるべきことを綿密に吟味
 検討する必要あり。
△当たりハズレが大きい。当たった時は意外な成果もあり?(実行の高さ)只、一発屋的な要素
 が強いので、空振り続けば投げだすことになる。

 このタイプは”熟慮”の検討にウエイトを置き、時間を掛けてあらゆる視点を練り上げれば、実
 行は高いので早い段階でらせんサイクルに乗っていける。又決断・公言の効果性とタイミング
 を意識する習慣が鍵となる。

●口先先行型とはー

次に紹介する口先先行型はー第1S低い 第2S低い 第3S高い 第4S低いと言うタイプ。
〇弁が立ち、周囲を湧かせ魅了する。
〇立ち回りが上手く、ここぞと言うタイミングできっぱり決断出来る。

△目的よりも、目先の手段・行動に目が向きがちであり、先を見通した思考につながらない。
△変化への対応や不測の事態は苦手で戸惑うことが多い。
△”風呂屋の湯”になりかねない。

 何がやりたいのか、何のために必要なのか、目的の意義や意図が明確でないと自身を駆り立て
 られない、まずは”想いの深さ”を持てるかにある。その上で行動する際に避けられない問題や
 障害を予め考えることで本質を捉える”熟慮”を鍛えて行く必要あり。


●石橋たたき過ぎ型とはー

3つ目は石橋たたき過ぎ型ー第1S高い 第2S高い 第3S高い 第4S低いタイプである。
〇人生の意義や目的について、明確な人生観や信念を確立している。
〇目標に価値を見出し、それを実現するためのあらゆる準備が綿密に出来ている。

△1にも2にも後は実行に移すのみに関わらず、結果を恐れて踏み出せない。
△”石橋を叩き過ぎる”と進むまえに壊れることも?、、、

 構想・分析や予想される障害や達成後の結果などさまざまな要因を洗い出し、具体的に検討し
 手を尽くしているが、”実行”の一歩が踏み出せないのである。慎重過ぎるタイプは、まだやる
 ことある?、何か不足している?と掘っても掘っても不安がやってくるので、背中を押す存在
 が必要。走りながら修正していくサイクルを身に付つと柔軟性が出て来る。近年の若者層に多
 く、増加傾向あり。
 

 

らせんサイクルと3つの意志

意志力チェック診断で自身の課題・不足点を認識し、それが実践機能されると、らせんサイクル(第1S想いの深さ 第2S熟慮 第3S決断と公言 第4S実行)がゆっくり回り始める。
なぜ、”らせん”かと言うとー各STEPは一律個別に動いているのではなく相互に影響し合っている。他のSTEPが質的にアップデートされると、待ち構えていたかの様に個々のSTEPも呼応し、スイッチが入る。するとスロー気味のサイクルが加速、段々とエネルギィーを帯び、まるで竜巻のようにらせんが大きく、強くなっていく。何よりの悦びは、目標ゴールに確実に近づいているという実感が、らせんサイクルをさらに回すことに。課題・不足点がよい方向にいくことでエネルギィー効率が集約され、自らが意志力を駆使し、全体を方向づけていくのだ。

この一連のSTEPに深く関わり、全体を建設的に指揮、コントロールするのがすでに【第1弾】で登場、ご紹介した3つの意志ー「強い意志」「巧みな意志」「善い意志」なのである。

全体のまとめ ~人的資本経営と「意志力開発」~

「意志力開発」について【第1弾】【第2弾】と掘り下げて来たが、読者の方には全体を捉えて頂けたであろうか?正直に申して、アサジョーリの世界観は奥が深すぎで、とても私ごときが太刀打ち出来るものではなく、まだまだ彼の壮大思考の一端でしかない、、、それでも彼の”意志”概念づけ、技法プロセスを何とか教育研修用に構想、体系化し、空振り続けど目標ゴールに向かうエネルギィーある人達にメソッドを届けられないものかと模索・奮闘し、やっと現場実践にこぎ着けた。文字通り「意志力開発」への実践場であったかと、、、

●人的資本経営と「意志力開発」ー
今、世界的な潮流の一つとして人的資本経営が叫ばれ、日本においても”人的資本”への取組みが注目されている。”人的資本”とは個々の技能、資格、見識、能力等、人に付随した能力を企業の”資本”とする捉え方。人財や組織文化に投資家が投資することで”資本”として価値が高まり、企業価値が上げる。つまり人財は、”人的資源の一つ”の扱いではなく、”人的資本”の時代なのである。

人財能力を持続的に高めることが”人的資本経営”であるなら、経営戦略とリンクする人事戦略は、個々設定のあるべき姿や目標がゴールへ向かうべく、その実行プロセスにこそ注力したい。働くすべての人財にサポート施策が届く仕組み体制を構築すべきだ。「意志力開発」はそのツールの一つとなろう。           
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